スカーレットの悪女
「あいつ実莉の写真見てリスのスタンプ送ってきた。いい歳した男がなんでこんなスタンプ持ってるん?気色悪っ……」



どうやら丞さんがかわいらしいリスのスタンプを送ってきてドン引きしてるらしい。


いや、あんたも大概だけどね。



「いい歳した男が盗撮もなかなかキモイけど」

「こうやって見せたから盗撮じゃなくなったやん」

「そういうの屁理屈って言うんだよ」

「若い子のツッコミ鋭いわ、傷つく〜」

「正論言っただけじゃん」



大希はお気に入りには甘いから、いくら生意気でも許してくれるから結構辛辣なことを言ってもヘラヘラ笑っている。


それにしてもお互い減らず口だから車内でもずっと喋ってるな。


運転手のおじさんにうるさいと思われてないかなと心配したけど、逆に「ええコンビですね」ってなぜか褒められた。


原作では関わりのなかった実莉と大希。


私たちが結ばれるのは、物語上決して正解ではないはず。


だけどこの出会いが間違いではないなら、親交を深めるのも悪くはない。


そもそもこんなに退屈しない男は大希が初めてだし。


そう思い大希の顔をすると、「上目遣いかわええなぁ、キスする?」なんて笑うから、なんとなくムカついてその手をつねっておいた。
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