スカーレットの悪女
「実莉、来た時よりも元気になってよかったわ。さっそくホームシックかと思った」



本家の離れに帰りつくと、大希は上着を脱ぎながら笑顔になった。


元気がないように見えていたらしい。


正式に私を手に入れて好き放題できるのに、ちゃんと心配してくれるんだ。


これ以上甘やかされたら確実にダメ人間になるから勘弁して欲しいのに。



「会いに行けない距離じゃないから大丈夫だよ。今の時代ビデオ通話とかできるし」

「逆に壱華たちの方が実莉がおらんくってさみしがったりして」

「でしょうね、天真爛漫で盛り上げ上手な私がいなかったらさみしいと思うよ」



上着をクローゼットにかけてリビングに戻ってきた大希はふーんと言いながら眉毛を上げた。



「あの新婚夫婦、案外早く子どもできたりしてな?」

「いいじゃない、壱華と志勇の子なら絶対かわいいよ。隔世遺伝でもどの親戚の遺伝子をとっても間違いなく美形」

「そしたら実莉もおばちゃんやな」

「こんな若くてかわいい叔母がいたら生まれて来た子も鼻が高いでしょうよ」



そう、壱華の子どもたちが全員美形に成長するのは決定事項なのだ。


なぜか私が誇らしくて渾身のドヤ顔をかますと、大希は大きく口角を上げて「やっぱ実莉おもろいわ」と声を高らかに笑っていた。
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