スカーレットの悪女
「寝室一緒なの!?嫌なんですけどプライバシーの侵害!」



驚いて眠気なんてぶっ飛んだ。部屋があるなら寝床も別だと思い込んでいた。



「なんで嫌がるん?恋人なんやから一緒に寝るの当たり前やん」

「そう思ってるのは大希だけだからね」

「はいはい、そう思っといてええよ」



未だに私の一番は壱華だ。だから大希と恋仲である事実を認めたくなくて否定してしまった。


しかし大希にはひとつもダメージを与えられず適当にあしらわれた。


それほど私の焦りが伝わっているのだろう。



「風呂入ってくるからベッドで待っとき」

「今日はリビングで寝るの」

「あかんて風邪ひくから。……何がそんなに心配なん?」



頑なに嫌がってリビングのソファに横になると、大希は笑いながら顔を覗き込んで覆い被さる。


見りゃ分かるでしょ、貞操の危機を感じてるんだって。



「分かってて聞くのはタチ悪くない?」

「言うたやん、すぐに手篭めにはせんって。しかも俺、オールしたから疲れすぎて相手できん。実莉におねだりされても今日は無理」

「誰がおねだりするか!下品なヤツめ!」



酔っ払いには付き合いきれん。私は大声で威嚇して大希の部屋に走った。


必死な姿がおかしかったのだろう。その後大希の朗らかに笑う声が廊下に響いた。
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