スカーレットの悪女
「いつ入れたの、これ」

「18の時やったかな。だいぶ色飛んだから半年前に入れ直してん」

「だからこんなに鮮やかなんだ!」



興奮気味にその背を撫でるの、不意に大希は振り返って私の手首を掴んだ。



「満足した?俺もお返しに触っていい?」



やけに素直に触らせてくれると思ったらそういうことか。


この変態め。私の表情筋はたちまち作用しなくなった。



「だめ」

「なんで?」

「生理前で胸張って痛いからだめ」

「ほな寝よか〜」



睨みながら拒否すると、大希は両手を広げて私を抱きしめ、そのままベッドに横になった。


そしてベッドの上にあったリモコンを取り、部屋の明かりを消すとさらに密着して私を抱きしめる。



「実莉、抱き心地抜群やな」



真っ暗な部屋の中に、大希の吐息混じりの声が響く。


危ない状況なのに逃げ出せないのは、このぬくもりを懐かしいと感じてしまうせいだ。


この体格差はパパの腕の中を思い出す。



「髪もさらさら……」



大希は私の髪を撫でて、私の頭を自分の胸に引き寄せる。


しばらくその状態でいるた大希の呼吸が深くなって、頭に触れていた手が徐々に脱力して離れた。


……え、寝た?マジで?


さすがにアラサーの徹夜はきつかったらしい。大希はものの数分で寝息を立て始めた。


私も緊張しているはずなのに、パパの腕の中でみたいな抜群の安心感のせいで早々に意識を手放した。
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