スカーレットの悪女



そこからのことは断片的にしか覚えていない。


腹の痛みと高熱にうなされて苦しかったのは覚えてる。


こんな痛みが続くくらいならいっそ……って本気で思った。


だけど夢か現実か、いろんな人の声を聞いてそれに救われた。


壱華や理叶、光冴に涼ちゃん。


そして──



「まだ意識戻らねえの?」

「意識は3日前に戻ってる。主治医が言うには昨夜は会話もできたらしいが、退院はまだまだだろうな」



こんな小娘に興味なんてないはずの、颯馬と志勇の声。


これは夢?そうじゃなかったとしたら、壱華の安否を確認しなきゃ。


眠気に抗って目を開くと、見知らぬ天井が視界に広がった。
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