スカーレットの悪女
「なんでそんな冷たいん？おとん泣くで」

「実莉を優先したいからに決まっとるやろ」

「実の父親より彼女優先するん！？俺とその子どっちが大事なん！？」

「めんどくさい彼女みたいなこと言うなや」

「はは、冗談冗談。俺もシズカさん帰ってきた時に邪魔されたら嫌やから大人しく退散するわ」



はたから見たらおもしろいお父さんだけど、大希はちょっと面倒くさそうに対応している。


確かに年がら年中あの勢いで来られたら疲れそう。



「シズカさんはよ帰ってきて〜！さみしいわあ」

「独り言がでかいねん」



おそらく奥さんの名前だろうと思われる言葉を口にして離れていく昂大さん。


大希はひとつため息をついて私の肩に手を回した。


ひとまず志勇と冬磨さんみたいにギスギスしてない親子で安心した。


苦労した親子だもんね、いがみ合っても仕方ないか。



「はあ、うっさいのが帰ってきたわ。実莉今日はいっぱい癒して」

「……大希ってお父さんそっくりだね」

「どこがや、俺の方がクールでかっこええやろ」

「そういうところ」



だる絡みしてきた大希はさっきの昂大さんみたいで、まさに親子だなと笑えた。



「絶対違うって、俺あんなにうるさいん？」

「自覚ないのやばいよ」



大希は終始納得がいってなかったみたいだけど。
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