スカーレットの悪女
「もう寝てるん?健康優良児やな」



お風呂上がりで気持ちよく夢うつつの中、大希が寝室に入ってきた気配で目が覚めた。


あれ、私いつの間にベッドに?それすら思い出せないほど眠りが深かったみたい。



「実莉、おいで」



お風呂上がりはいつだって半裸な大希。布団をひっぺがしベッドに入り、端っこで寝る私をおいでと言いつつ手繰り寄せる。


そして「お風呂上がりの実莉ええ香りがする」なんて後頭部を嗅ぎながらその後は珍しく黙って撫で続けていた。



「あかん眠い」



しばらくして大希がぼそりと呟く。



「寝たらいいじゃん」



眠くてふにゃふにゃな声でそう言うと、大希は上体を起こして、私の体勢をゴロンと反転させた。


よって大希と向き合う形になったけど、私は眠さのあまりすぐ目を閉じた。



「ちゃうねん、俺不眠症のはずやねん。寝れへんから女抱いて体力消耗させてから寝とったのに、実莉だっこしただけで眠れるとかそんなアホな話あるか」

「うん、そう……よかったね」

「実莉がおねむや、赤ちゃんみたいでかわいい」

「うんうん……」



最低エピソードも今の私には響かない。それほど睡魔に負けそうな私を見て、大希は声をワントーン高くして感激しているように褒める。


私が適当に相槌をすると頭を撫で、それから横向きに寝る私の胸にダイブしてきた。
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