スカーレットの悪女
「……赤星のそんな顔初めて見たわ」



大希はベッドから投げ出されたあと、布団から顔だけ出して丞さんの顔をまじまじ見つめていた。



「ショック受けてるヒマあったらはよ支度せえ」

「ぶちギレやん、俺が何したって言うねん」

「浮かれすぎやねん、仕事押し付けてとっとと寝んなや、せめて電話出ろ。
押し付けた仕事やっと終わって帰ろうとしたら、昂大さんに飲みに連れ回されて死ぬか思うたわ全部お前のせいや」



どうやら仕事を押し付けられた挙句組長に飲みに連れられ、さらに報連相を怠りすぎてブチ切れられたらしい。


組長を責めるのは違うし、大希に怒りの矛先が向くのは納得した。最近の大希、早寝遅起きだし。


ところで丞さんって怒ると関西弁なんだ。しかも無表情で怒るからそれも相まって恐ろしさが倍増している。



「それは……すんません」

「申し訳ございませんやろうが」

「ええやん、こんな素直に謝るヤクザ、俺くらいやで!」



大希は深々と頭を下げたけど、謝罪の訂正を要求されて反抗的な態度を取る。


荒瀬兄弟に置き換えたら信じられない光景だな。颯馬が志勇を足蹴にするとか信じられないもん。
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