スカーレットの悪女
しばらく布団にくるまっていた大希はこれ以上反抗するより行動した方がいいと思ったらしく、「俺が支度終わらせるまでに機嫌直してな」とわざと目をうるませて懇願して、しょぼくれた様子で部屋を出ていった。



「……わざとらしい」



まだ怒り心頭の丞さん。大希が出ていった方角をしばらく睨んでいたけど、ふと私の存在を思い出したように顔をこちらに向けた。



「おはようございます、実莉さん」

「おはようございます!丞のアニキ、助けていただいてありがとうございます!」

「まだアニキですか、居心地悪いからやめてください」



あくまで怒っているのは大希であって、私には通常運転の丞さん。



「赤星さん、大希って不眠症なんですか?」



それなら気を使ってへりくだる必要も無いかと、気になっていたことを質問してみた。



「そうですね、普段は眠れて1日3時間ほどみたいです。20歳すぎあたりからずっとそんな感じですね」



1日たった3時間!?典型的な不眠症じゃないか。


若くないんだからしっかり寝ないと疲労が取れないはずなのに。
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