スカーレットの悪女
「信じられない、私なんて毎日8時間きっちり寝ても眠いのに!」

「実莉さんが来てからはしっかり睡眠時間が取れているみたいです。
大希は眠れないとイライラし出しますので、こちらとしてはありがたいです」



大希からお気に入り宣言をされてからイライラしてる様子をあまり見てないけど、あの男がイラつき出すとめんどくさいのは知っている。



「ふーん……じゃあ適度に寝坊しない範囲で寝かしつけます」

「よろしくお願いします」

「寝かしつけんで、俺はもっと実莉とイチャイチャしたいねん」



丞さんと約束を交わした直後、ベルトをしながら大希が部屋に入ってきた。


秒で支度を済ませたくせにスーツを着ただけでバッチリ決まっている。髪は適当に流してオールバックにしてるけど、ワイルドさが増して一方で笑顔が可愛らしいからギャップにやられそう。


大希は丞さんを横目に小さくため息をついて、それから私の頭に手を置いた。



「なんやその冷めた目、まだ怒ってるん?まあええや、ほな行ってくるわ、実莉はいい子にして待ってるんやで」



優しい手つきが心地よくて目を細めると急に目の前が陰る。どうしたんだろうと目を開けると、大希の顔面が目の前にあった。


待ってキスする気!?丞さんの前で嫌なんだけど!
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