スカーレットの悪女
なんか、頭がぼーっとする。


ここ、どこだ?志勇が退院とか言ってたから病院?


そもそもあの声は現実か?



「……おい、俺の声が聞こえるか?」



すると突然、とんでもなく美しい男の顔面が視界に入ってきた。


その顔が志勇だと気がついて、だんだん意識がはっきりしてきた。


そうだ、壱華の安否を確認するんだった。



「いち、か……」

「は?」



ところが、しわがれたカスカスの声しか出なくてびっくりした。


どうやら私、声帯がまともに使えなくなるほど長い間意識を失っていたらしい。
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