スカーレットの悪女
午前7時、起き上がると大希の姿はすでになく、大希が寝ていたはずのシーツの上はもう冷たくなっていた。
もう仕事にでかけてしまったのだろう。
うん、その方がいい。だって私は一度どころか二度までも泣いてしまうという失態を重ねてしまったのだから。
顔を合わせない方が気まずくならない。
「おはよ、元気なった?」
ところがどっこい、キッチンの方から何やらいい香りがすると思ったら大希がガスコンロの前で長方形のフライパンを上下に振っていた。
一瞬黄色い物体が見えたからあれはきっと卵焼きだろう。
大希、卵焼きとか作れるの?確かに器用だけど料理は別物だと思ってた。
「おはよう……大希がキッチンに立ってる。これ幻覚?」
「なわけ、俺は荒瀬のお坊ちゃま若頭と違って自炊できるねん」
目をこすりながら声をかけると、大希の手元には焦げ目ひとつない綺麗な卵焼きが見えたし、隣のコンロの上に置いてある小鍋の中からみそ汁の匂いがした。
もう仕事にでかけてしまったのだろう。
うん、その方がいい。だって私は一度どころか二度までも泣いてしまうという失態を重ねてしまったのだから。
顔を合わせない方が気まずくならない。
「おはよ、元気なった?」
ところがどっこい、キッチンの方から何やらいい香りがすると思ったら大希がガスコンロの前で長方形のフライパンを上下に振っていた。
一瞬黄色い物体が見えたからあれはきっと卵焼きだろう。
大希、卵焼きとか作れるの?確かに器用だけど料理は別物だと思ってた。
「おはよう……大希がキッチンに立ってる。これ幻覚?」
「なわけ、俺は荒瀬のお坊ちゃま若頭と違って自炊できるねん」
目をこすりながら声をかけると、大希の手元には焦げ目ひとつない綺麗な卵焼きが見えたし、隣のコンロの上に置いてある小鍋の中からみそ汁の匂いがした。