スカーレットの悪女
「壱華は!?」

「……お前、第一声がそれかよ」



なんとか絞り出して目の前の顔に必死に問いかけると、ものすごく長いため息をつかれた。


まるで『こいつバカなのか?』とでも言いたげな顔。


それでいて目を逸らさないから変なやつだと思った。


まあ、ヤクザが常識人なわけないけどさ。



「お互いにとんだシスコンだな」



今度はため息混じりに頭を抱えて蔑むような顔をする。


その表情すら美麗で、バカにされてるのが悔しいのに魅入ってしまった。


って違う、壱華のことを聞かないと。
< 69 / 809 >

この作品をシェア

pagetop