スカーレットの悪女
「壱華どうしたの急に」

「実莉、今時間大丈夫?大事な報告があって」

「だだ、大事な報告!?」

「ふふ、悪い話じゃないからそんなに慌てなくて大丈夫」



急に電話をかけてきて大事な話だって?


私は緊張してしゃきんと背筋を伸ばした。



「あっは、姿勢まで正さんでええやん」

「うっさい、今大事な話をしてるところなの!」

「望月さん、近くにいるの?」



大希は横っ腹をつついてきたから、その手をパチンと叩いた。


すると壱華が大希の声に気がついて驚いたような反応をする。



「聞かれない方がいい?ちょっとあっち行って」



お返しに大希の横っ腹をつっついたけどビクともしない。


なーんだ、くすぐられてもなんともないタイプか、おもしろくない。



「聞かれてもいいよ」

「ええって?なら実莉の膝借りよーっと」



大希はすでに至近距離にいるくせに、無理やり私の膝に頭を預けて膝枕の状態になる。



「ねえ、重いんだけど」

「壱華が絡むと急に冷たくなるやん、俺悲しい。さっきはぶりっ子キャラやったくせに」

「黙ってってば、壱華と電話中なの」

「仲がいいみたいでよかった」



大希がいると話が脱線してマジで迷惑!そう思ったけど壱華は微笑ましく笑う声が電話口から聞こえた。



「それで話って?」



でもいい加減壱華と話がしたい。


私から尋ねると、壱華は改まるように「あのね……」と少し低い声を発した。


私はごくりとつばを飲み込み、壱華の次の言葉を待った。



「妊娠したみたいなの」
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