スカーレットの悪女
……にんしん?妊娠……妊娠って言った!?


もうそんな時期なの!?そうじゃん、原作でも結婚してすぐ、4月くらいに妊娠が発覚したんだっけ。


やった、ついに推しの子を拝める時が来た!


いやだいぶ気は早いけど、壱華のお腹に新たな命が宿ったんだ。



「キャー!ついに!おめでとう!」



電話口にも関わらず大声ではしゃぐと遠くから「うるせえ」と声が聞こえた。


今の声志勇だな、なんだあいつも近くにいるのか。


しかしそんなことはどうでもいい。私は興奮して大希のおでこをぺしぺし叩いた。




「聞いて聞いて大希、たいへーん!」

「いや、うん、聞こえとるから」



さすがの大希も迷惑そうに目を細めて私の手を掴んで止める。


構わず私は大希の顔面にぐっと顔を寄せた。



「すぐさまお祝いに駆けつけるわ!」

「駆けつけてどれくらい向こうに滞在するつもりなん」

「うーん、1か月くらい?」



首を傾げながら結論を出すと、大希は眉間に皺を寄せて大きく口を開いた。


そして膝から頭を外し、目にも止まらぬ速さで私の体をたぐりよせて強く抱きしめた。
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