スカーレットの悪女

覇王の花嫁

「いつから行くん?」

「明日から!」



真夜中、ウキウキで東京に帰る準備をする私。大希はその様子をつまらなそうに目で追っていた。


ベッドの上で横向きになって、手で頭を支えながら半目になっている。


よくリビングで見かけるような、床に寝転がって惰性でテレビを見る父親みたい。


いや、パパはあんなだらしない姿勢でテレビ見てなかったけど。



「早すぎるって、明後日にして」

「だって大阪にいてもヒマなんだもん」

「やったらはよ結婚しよ、それで姐さんとして西雲を仕切ってや」

「プロポーズ?だとしたら今の0点なんだけど」



こっちに来た頃は、大阪に住んでくれたら束縛しないとか言ってたくせに結婚を急かしてきた。


生意気を言いつつ振り返ると、大希はため息をついて壁側に体の向きを変えた。


うーん、さすがに生意気が過ぎたかな。


私は準備をやめて大希が寝転ぶベッドにへりに座った。


すると大希はわざとらしく私をちらっと見て、それからまたため息をついた。



「ええなあ、とっとと結婚して子どもできて」

「意外、子ども欲しいんだ」

「実莉との子どもなら欲しい」
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