スカーレットの悪女
間髪入れずに言い切って顔を合わせてきた。


いつもふざけたような態度のくせにこういう時は真摯な表情。


顔がどタイプだから真っ直ぐ見つめられると正直照れる。



「なんその微妙な顔。俺真剣なんやけど」

「真剣なのは伝わったけど、なんていうか……」



大希と過ごして、その気持ちに嘘偽りがないことは伝わる。


だけど不安な点がひとつある。それは、この世界において大きな運命は変えられないという点だ。


壱華を虐待するはずだった義理の家族からは解放できたけど、結局志勇と出会う運命は変わらず危険な目に合わせてしまった。


厳重に注意していたに関わらず神木兄弟も救えず、私は未来を知っていながら大筋の運命はなにひとつ変えられなかった。


そして、悪女と覇王。繋がるはずのない二人が結ばれて、ハッピーエンドを迎えるとは到底思えない。


私もいずれ、愚かな悪女が辿った末路と同じようにこの世界から退場してしまうのだろうか。
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