スカーレットの悪女
「おはよ、実莉」



大希に抱かれた日の翌朝、眩しさを感じて目を開けると、大希はらんらんとした目とかち合った。


らんらんというかバキバキというか、もしかして大希昨日寝てない?私は昨日シャワーを浴びてすぐ寝ちゃった気がする。


大希の近すぎる顔面に驚いて一瞬目を見開いたけど、眠気に勝てずまぶたを閉じた。



「おはようおやすみ……」

「よだれ出てたで」

「んん、見ないで」



しかしお構いなしに話しかけてくる大希がしつこくでだんだん目が覚めてきた。


態度が変わらなくて安心した。昨日の私に幻滅はしてないみたい。


最近私はちょっとずつ心変わりをしている。


壱華が一番なのは変わりないけど、大希に嫌われることが怖いと感じ始めているのだから。



「すっぴんのしかめっ面もかわええわあ、ていうか実莉って縮こまって寝たらこんな小さいん?無理かわいい〜」



今のところ、当事者の私ですら引くほどぞっこんみたいだから大丈夫そうだけど。


なんなら限界オタク化してる気がする。


だけど男って抱いたらだんだん興味なくなるとかいうし、大希の心境は今がピークなんじゃないかと考えて朝からメランコリーな気分だ。
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