スカーレットの悪女
1週間ぶりに体を求められ、寝室に向かったのが確か19時。


おかしいな、壁にかかってる時計は12時の針を指している。


ということは深夜0時?信じられないんだけど大希、アラサーの体力じゃないわ。


私は疲労感からもうヘトヘト。慣れない体勢にすでに筋肉痛だし動きたくない。


お風呂に入るのもめんどくさくなって目をつぶってベッドに突っ伏していた。


だめだ頭がふわふわしてきた。夢の世界に片足つっこんだらもう起き上がれない。



「実莉、おねむなん?」



1週間ぶりに性欲を発散できた大希は満足そうな弾んだ声で私の顔を覗き込む。


声は聞こえてたけど無反応を貫く。こちとら疲れ果ててるんだよ休ませて。



「なあ、俺のこと好き?」



ちょっかいかけて来るつもりかと思ったら、声のトーンが急に落ちた。


不安がってるように聞こえたけど、眠過ぎて今にも意識が飛びそうだから答えられない。



「なんで俺のものになってくれへんの?」



何を言っているんだろう、私はすでに大希の手中にあるのに。


それともこれは夢なのか。普段自信満々の大希がこんなに不安がるはずがないし。


もしくは大希に圧倒されてばかりだから、逆に求められたいという自分の潜在意識が夢となって権限したのかもしれない。


確かにこんなふうに憂慮する大希は新鮮でなんだかかわいいとさえ感じる。


その後は大希からのアプローチはなく、その後は夢も見ず深い眠りに落ちた。
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