スカーレットの悪女
うつぶせのまま朝を迎えた私は、体の下にあった腕が痺れていることに気が付いて朝からシーツの上をのたうち回った。


ゴロゴロと左右に転がり唸りながら起床する。



「まったく、なんて朝だ。全部大希のせいにしてやる」



寝起きが最悪なのは私を限界まで疲れ果てさせた大希のせいだ。


八つ当たりで横ですやすや寝息を立てる大希の頬をつねったけど起きる気配がない。


珍しく爆睡じゃん。昨日求めすぎてさすがに疲れてたみたい。


なーんだ、やはりこやつもただのアラサーか。


それにしても、不覚にも昨日の寂しそうな「俺のものになってくれへんの?」という発言にはきゅんとしてしまった。


だめだめ、私の優先順位は壱華なんだから!


大希に絆され過ぎると抜け出せなくなってしまう。
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