スカーレットの悪女

「……一に壱華、二に壱華、三、四がなくて五に壱華」

「あかん、実莉が壊れてしもーた」



頭を抱えて呟くと、いつの間にか大希の目がぱっちり開いていた。



「壊れてない！必死やねんこっちは！」

「すっかり関西弁うつってるやん、かわええなあ」



ここぞとばかりに恨みつらみを晴らすべく声を張り上げると徐々に浸透してきた関西弁が口から飛び出た。


大希はそれを聞いて嬉しそうに顔を綻ばせる。だめだ喜ばせてどうする。


するとゆるゆるの笑みのまま接近してきてキスをしようとしてきたから、近づいて来た唇を指でつまんだ。



「寝起きの口は汚いからキスしてこないでおっさん」

「……」



朝から辛辣な言葉で牽制すると、目をぎゅっとつぶって顔のパーツを中心に集めたような変な顔をしていた。