スカーレットの悪女
「親を脅すなんて薄情な息子やなぁ」

「うっさい黙れ。はよ出てけ」



冷たく言い放つ大希に対し、お父さんは余裕しゃくしゃくで「しゃーない、雫佳さん行こか」と声をかけて立ち上がった。



「実莉、次来たら締め出してええからな」



家から出た2人を玄関まで見送ったあと、大希は即座に玄関を鍵を閉めて勢いよく振り返った。



「なんで?楽しいのに」

「はぁぁ?この人たらしが」



別に迷惑じゃないと伝えたかったのになぜか眉間にシワを寄せ口を半開きにして睨んできた。


私と付き合ってからどんどん顔芸が更新されていく大希。しかし今は変な顔、なんてからかうのは違う気がする。



「意味わかんないなんで私が怒られるの」

「普通彼氏の両親とか気遣うやろしかも相手は極道やで」

「私の図太いメンタル舐めてもらっちゃ困ります〜。それにお父さんたち来る前にちゃんとメッセーシくれるもん。無理な時は無理って断ってるよ」

「は?いつの間に連絡先交換してん!俺知らんのやけど」



ご機嫌ななめの大希はめんどくさい。早くいつも通り甘えてくれたらいいのに今日に限っては更なる変顔を引き出してしまった。
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