スカーレットの悪女
「どいつもこいつも実莉、実莉と……」
不意に真顔になると拳を固く握って肩を震わせる。やば、ついに怒った?
「実莉はみんなのアイドルやない、俺の嫁や!」
ところが大希は突進するように私を抱き上げると、鼻息荒くリビングに突撃する。
ふんふん言いながらソファに座り、私を強く抱きしめて動かなくなった。
「先程なにやら喚き声が聞こえたんですが気のせいでしょうか」
大希の腕の中は相変わらず心地いい。
逃げる理由もないししばらくされるがままでいると丞さんの声が近づいてきた。大希は弾かれたように顔を上げ抱きしめる力をゆるめた。
「なあ赤星どう思う!?母ちゃんも親父も実莉と距離近すぎやけん」
「外堀から埋められてよかったやないですか」
振り返ると丞さんは呆れた顔をしている。今にもまたか、という言葉がその口から飛び出してきそうだった。
「ちゃうねん俺が実莉とイチャイチャできんねん!」
「落ち着きやアラサー、大人の余裕はどうしたんや」
「大人の余裕なんて言ってられるか!」
対する27歳児は感情の昂りが鎮火する気配がない。
まったく、原作ではミステリアスで大人の余裕と魅力にあふれていた大希がこんなに幼児退行するなんて誰が想像できただろう。
私は丞さんと目を合わせ、やれやれと2人そろって肩をすくめた。
不意に真顔になると拳を固く握って肩を震わせる。やば、ついに怒った?
「実莉はみんなのアイドルやない、俺の嫁や!」
ところが大希は突進するように私を抱き上げると、鼻息荒くリビングに突撃する。
ふんふん言いながらソファに座り、私を強く抱きしめて動かなくなった。
「先程なにやら喚き声が聞こえたんですが気のせいでしょうか」
大希の腕の中は相変わらず心地いい。
逃げる理由もないししばらくされるがままでいると丞さんの声が近づいてきた。大希は弾かれたように顔を上げ抱きしめる力をゆるめた。
「なあ赤星どう思う!?母ちゃんも親父も実莉と距離近すぎやけん」
「外堀から埋められてよかったやないですか」
振り返ると丞さんは呆れた顔をしている。今にもまたか、という言葉がその口から飛び出してきそうだった。
「ちゃうねん俺が実莉とイチャイチャできんねん!」
「落ち着きやアラサー、大人の余裕はどうしたんや」
「大人の余裕なんて言ってられるか!」
対する27歳児は感情の昂りが鎮火する気配がない。
まったく、原作ではミステリアスで大人の余裕と魅力にあふれていた大希がこんなに幼児退行するなんて誰が想像できただろう。
私は丞さんと目を合わせ、やれやれと2人そろって肩をすくめた。