スカーレットの悪女

虎にマタタビ

日中の強烈な陽射しに初夏の訪れを感じる7月、私は望月家と食事会に出かけていた。


どうも最近大希のご両親は私と一緒に出かけたがる。


理由を訊けば、連れ立って歩けば“覇王の花嫁”の噂が広がり、確固たる地位を確立できるから、だとかなんとか。


私は権力や名声に興味ないけど、今日はステーキで有名な高級レストランに行くらしい。現金な私は釣られてホイホイ付いてきた。



「みんなで飯食うの久々やな」



4人がけの席に最初に座ったお父さんは、真っ白なテーブルクロスを見つめ呟いた。



「堂々と外出れるなんて平和になった証拠やね。ほら実莉ちゃんこっち座り」



雫佳さんも手招きしつつ着席する。私は大人しく彼女の横に腰を下ろした。



「大希はいつまでぶーたれてん。はよ座りや、あんたデカいんやから突っ立ってたら邪魔やで」



笑顔で私が座ったのを確認した雫佳さんだったけど、仏頂面で立つ大希を見て怪訝な顔をした。



「やっと実莉帰ってきたのになんで直後に飯誘うん。実莉食べるの好きやからついて行くに決まってるやん」



大希は不貞腐れた態度でやっと席に着いた。


実は1週間前から壱華に会いに東京に行っていた私。朝東京を出発して、ついさっき大阪に戻ってきたばかりだ。


ストレスや性欲が溜まっていた大希は私とイチャつきたかったみたいだけどそれが叶わず食事に連れて来られたと言うわけだ。
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