スカーレットの悪女
「それまでは婚約者を逃げられて西雲を崩壊させた疫病神、やなんて後ろ指さされとったけどええねん。俺は元々雫佳さんに惚れてたから再婚できて万々歳」



疑問の答えはすぐに解明された。


私にとっての壱華みたいに、お父さんにとっての光は雫佳さんだったんだ。彼女に向ける視線がそれを物語っている。



「せやな、あんたドMやもんな。幹奈相手やったら物足りんで不倫してそうやから結果的に私で良かってん」

「……はい?雫佳さん?」



和やかな雰囲気でまとまりそうだったのに、雫佳さんは呆れたように目を細めて笑うとムードをぶち壊した。


え、ドM?この強面のイケおじが?人の性癖に文句をつけるのはおかしいけど、ヤクザの会長がドMはミスマッチすぎる。



「私と結婚するまでSM系デリヘルにハマってたらしいやん。あんたのドM大希に遺伝せんでほんまによかったわ」

「雫佳さーん!何暴露してくれてるん!」



確かに周囲にあまり客がいないとは言え、高級レストランで暴露する内容じゃない。


私は精神年齢がアラフォー寄りだからあんまり動じないけど。


でも女子高生らしくリアクションした方がいいかな。迷っていると大希が横でふんと鼻を鳴らした。
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