スカーレットの悪女
「みーのりっ、やっとふたりきりやなぁ」



家に帰って早々、靴を脱いだ瞬間に後ろから抱きついてきた大希。私の頭に頬を擦り寄せてご満悦の様子。



「ねえ、顎でグリグリしないで痛い」



しばらく放って置こうと思ったけど顎を頭頂部にぐりぐり押し付けてきて反応してしまった。



「1週間ぶりなのにドライやな、ツンツンしてかわいいわ」



嫌がるともっと喜ぶから無視してようと思ったのに笑顔を引き出してしまった。


甘えるのが上手な男だ。そんな無邪気な笑顔を見せられたら私の表情筋も緩む。


しょうがない甘えさせてやるか、と決意したその時、手元のバッグに入れていたスマホの通知音が鳴った。



「後でもええやろ俺に構って」



スマホを見ようとしたら不機嫌を漂わせる声とともに上から体重をかけてくる。



「確認だけさせてよいじわる」

「あっは、その顔かわいい」



わざと口を尖らせて振り返るとちょろい大希は瞬く間に白い歯を見せた。


私はその隙にスマホの通知画面から新着メッセージをタップした。それは志勇からのメッセージだった。
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