スカーレットの悪女
「ああ、ちなみにマタタビって呼ばれてるのは私が大希にとってのマタタビって意味だって。大希、私と関わったらマタタビ嗅いだ猫みたいに豹変するでしょ」

「なんやそれ、お互い様やろ。あいつも壱華に対しては犬みたいに四六時中しっぽ振ってるやん」

「あはは、それ志勇に言ってあげてよあいつ自覚ないから」

「自覚ないの怖いわ。てか俺もう限界なんやって、もうスマホええやろ俺に集中して」


大希は不自然に話を転換すると今度は私を抱き上げてそのまま寝室まで移動する。


そして私をベッドに下ろし、胸目がけてダイブしてきた。



「あ〜、疲れたーー」



谷間に顔を埋めながら心境を吐露する。声の振動が直接胸に届いてくすぐったい。


大胆なセクハラだけど、その行為に癒されたい以外の他意がないため許してしまっている。



「実莉がおらんと寝れへんからキツかった。ドMクソ親父は“どうせ寝れへんやろ?仕事やりや”って真夜中に駆り出してくるんやで鬼やろドMのくせに」



どうやら私がいない1週間なかなかハードスケジュールだったらしい。ドMと強調して父親を非難するのもそのせいだろう。


いちゃつきたいって言うより早く寝たかったんだね、可哀想に。同情して頭を撫でると大人しくなったけど、しばらくして大希の頭がピクっと動いた。
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