スカーレットの悪女
会場の1番奥に披露宴会場みたく設置されている夫婦の席。


私は志勇と壱華が座っている椅子の間に立ち、なぜかニヤニヤしている志勇に視線を向けた。



「たまんねぇ……結婚式以来だな、お前のドレス姿拝めるの」

「変態」



表情からしてろくでもないことを考えているんだろうと思ったらやっぱりそうだ。壱華に鋭くツッコミを入れられても笑ってるし。


相変わらず壱華が絡んだら別人なんだから。



「壱華、気分が悪くなったらすぐ言えよ」

「……ほんと、アメとムチが上手ね?」

「うん?甘ったるいだけじゃ物足りねえだろ?特にお前の場合」

「Mって言いたいの?」

「そうだな。壱華は自分じゃ否定するけどかなりのマゾ気質だからな」

「自信満々に大勢の前で言わないでくれる?」

「気にするな、どうせ壱華を堪能出来る男は一生俺しかいねえんだ」

「……もう」



心配したりセクハラしたり惚気たり忙しい男だこと。私が大希にこんなこと言われたら一発ビンタをお見舞いしているところだ。


壱華が優しくてよかったね。若干呆れた顔してるけど。
< 731 / 807 >

この作品をシェア

pagetop