スカーレットの悪女
突然停電した会場。どよめく参加者。そして私の手をぎゅっと握る壱華。
会場の隅に非常口を示す緑色のライトがほのかに光っている以外の明かりはない。
数秒続いた暗闇の中、壱華が私の手をぎゅっと握った。
「実莉、離れないでね」
不安に震える壱華の声。安心させてあげたいけれど、これから親愛なる彼女を裏切らなければならない。
「大丈夫だよ壱華。私が絶対守るから。今の私にはその力がある」
「何、言ってるの。いいから手を離さないで」
不意に手を離すと壱華は繋ぎ直そうとする。しかしその手は風を切るだけだった。
「ねえ、実莉?……返事して実莉!」
忽然と消えた私の行方を探し、声を張り上げる壱華。不安が伝染し人々のざわめきが大きくなっていく。
そうして私は会場から姿を消した。
会場の隅に非常口を示す緑色のライトがほのかに光っている以外の明かりはない。
数秒続いた暗闇の中、壱華が私の手をぎゅっと握った。
「実莉、離れないでね」
不安に震える壱華の声。安心させてあげたいけれど、これから親愛なる彼女を裏切らなければならない。
「大丈夫だよ壱華。私が絶対守るから。今の私にはその力がある」
「何、言ってるの。いいから手を離さないで」
不意に手を離すと壱華は繋ぎ直そうとする。しかしその手は風を切るだけだった。
「ねえ、実莉?……返事して実莉!」
忽然と消えた私の行方を探し、声を張り上げる壱華。不安が伝染し人々のざわめきが大きくなっていく。
そうして私は会場から姿を消した。