スカーレットの悪女

天音組

side 大希


実莉は満足そうなやりきった顔で大阪に帰ってきた。やっぱなんかあったんやな。荒瀬で起きたいざこざについては管轄外やからあえてツッコミはせんけど。


とりあえず実莉が無事に帰ってきたからそれでええわ。



「おかえり実莉ぃ」

「もう、何回ただいまって言えばいいの。あと密着して暑いんだけど!」



1週間ぶりに会えたから後ろから抱きついて思う存分愛情表現しとったのに、しつこいと嫌がられた。


そうやこれこれ、実莉はこうでないと。


仕方なく解放すると実莉は玄関に駆けていってサンダルを履いた。


今日は特に予定はないけど、新しく買ったサンダルで出かけたかったらしい。やっぱ年相応にかわいいとこあるんやな。



「俺のおチビちゃんが今日もかわいいわぁ」

「はぁ!?今13cmのヒール履いてるから165cmありますけど!?」

「それでも25cm差かぁ、どう足掻いてもかわいい」



愛おしくなってかわいいと褒めると実莉は反発してきた。

残念ながら165cmでも俺からしたらまだまだ小さいんよ。


実莉はそっから俺と目を合わさんくなったけど、車に乗り込む頃にはケロッとした顔で口を開いた。



「かわいいよりそろそろ綺麗って言われたいお年頃なんですけど?」

「俺に抱かれてる時は色気出て綺麗やん」

「あんたのそういうデリカシーの無いところ大っ嫌い」

「嫌いでも一緒におってくれるんや」

「ポジティブすぎてウザイ」



やっぱ俺のこと好きやん。そう思って調子に乗った発言をしたら今度こそ好感度が下がった。


実莉は行きの車が目的地に着くまでうんともすんとも言わず押し黙ったままやった。


ま、単純やから甘いもの食べたらすぐいつもの実莉に戻ったけど。
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