スカーレットの悪女
「俺と壱華、どっちが大事?」

「壱華に決まってるでしょ」



家に帰ってきて玄関に入ってからすぐ、後ろから覗き込むように実莉の目を見つめる。


すぐに答えが帰ってきたけど、予想通りやからなんとも思わんかった。


気になったのはすぐに視線をそらしたこと。


人間って都合が悪いときは目を逸らすんやで。都合悪いってよりは、俺の反応を見たくないった感じに思えた。



「ええー?即答やん」



いつも通りおちゃらけると実莉はほっとしたように再び目を合わせた。


なんで俺の顔色伺ってるん。つっけんどんな態度取るくせに俺に嫌われたくないん?


そういうとこは恋愛経験が少ないから駆け引き下手なんやな、愛くるしいわ。


けどあまのじゃくな部分は直しといた方がいいから、素直になれるように矯正せなあかんな。


今夜はいじめたろ。
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