スカーレットの悪女
赤星はあんだけしつこく会議に出席しろと言ったのに、仕事用のスマホにはなんの通知もない。結局夜になっても召集命令は来んかった。


これみよがしに寝室に実莉を連れ込んで1週間ぶりの情交を堪能する。物理的に距離を置かれると、禁欲明けのセックスがより刺激的になってたまらん。


お互いの体をまさぐってようやくひとつになれると思った瞬間、後ろからドアをノックする音がしてとっさに実莉の体に掛け布団を被せた。


あーくそ、ほんまに来たんか、ダルいって。


しばらくして扉がゆっくり開き、扉の向こうから仏頂面の赤星が現れた。


俺は実莉を抱き寄せ赤星を睨みつけた。



「あ?邪魔すんな、いてまうぞ」

「統帥がお呼びです」

「……チッ」


分かっとる、赤星に威嚇しても流されるだけ。けどまさかヤッてる最中に突撃してくるとは思わんやん。ムカつくわあ狙ったように来よって。


赤星を睨みつけとったら手元の布団がもぞもぞ動き出した。すると実莉が顔だけ出して俺の顔をじっと見つめる。



「ごめんなぁ実莉、待っとって」

「……ふて寝してやる」

「あっは、その顔かわいい」



実莉は俺に襲われて寝不足の上、不完全燃焼でご機嫌ななめ。なだめるようにキスをして重い腰を上げた。



「くっそ、ええとこで邪魔が入った。文句言ったろ」



シャツのボタンに手をかけながら家の外へ飛び出る。


なんでこんな真夜中にきっちりスーツ着なあかんねん。深夜1時やで、どんなわがまま野郎がこんな時間から会議やろうなって言ってん。


大股で応接間に向かい勢いよく襖を開ける。中には親父と対面して2人の男が座っていた。
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