スカーレットの悪女
「なんやそれ、天音は軋轢があることを理解してへんみたいやな」



世襲君主制に取り憑かれて痛い目みたくせに、まだそんなしょーもないもんにすがりついてん。


天音はダメやな。雅が若頭になって組織自体はだいぶ良くなったけど上が腐っとる。



「もうあの時から西雲は変わったんや。そもそも、姐としての力量のない女娶る気ないわ」



でっかいため息をついて完全に否定の姿勢を取る。けど、いくら俺が否定したところであの手この手で迫ってくるんやろうな、だっる。


そういや赤星から聞いたけど、荒瀬は決起集会に乗じて邪魔な組織の断罪に成功らしいやん?


俺もそっち方面で考えよかな、実莉が絡んでる以上、コテンパンにせんとあいつらゾンビのように湧き出てくるやろ。



「ああ、それなら若頭補佐の雅が結婚したらええねん。いとこ同士なら結婚できるやろ」

「嫌ですよあんな性悪のおつむが残念な女」



平和的解決はこれくらい。けどそれを否定するんやったら、打開策はひとつしかないなあ。



「やったらこの話はなし。俺にはもう実莉がおるから」

「本当に娶るおつもりで?」



立ち上がってその場を離れようとすると、雅の隣で黙っていた男が俺に直接問いかけてきた。


ふーん、自分に発言権があるとでも勘違いしてんねや。お高く止まってんちゃうぞ。
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