スカーレットの悪女
「自分ら、引き離そうもんなら地獄見せたるからな」



振り返りざまに睨みつけると、ぎょっとしたように目を剥き唇をぎゅっと結ぶ。ほらな、舐めてたやろ俺のこと。しょーもない。


一方で雅は目を輝かせて小さく「かっこいい……」と声を漏らす。


さすが俺の側近、威嚇にビクともせんどころか憧れを抱くなんて。おもろいわどんだけ俺のこと好きやねん。



「バカタレ、んなこと思ってへんわ。そんで親を脅すなアホ」



たまたま睨みつけた先にいた親父が俺は味方やぞと言いたげに訴えてきたが、完全に存在を忘れとったわ。



「親父おったん」

「息子が辛辣過ぎる……」



とぼけると、どこかで聞いたようなセリフがその口から飛び出す。それ、さっき俺が赤星に言ったようなセリフやん。変なとこで遺伝子の繋がりを感じて複雑な気分になった。
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