スカーレットの悪女
「実莉、おはよ」



翌日は実莉の方が先に目覚めた。


俺の腕の中でもぞもぞしとったから、抜け出せんように強く抱きしめる。


目を開けると実莉の顔が目の前にあった。


じっと見つめてきたからキスでもして欲しいんかと思って口を近づける。


しかし露骨に顔を背けて手で俺の顔を押さえた。



「えぇ、避けられたショック〜」

「歯磨きしてないからやだ」



昨日の甘えたが嘘みたいにムッと顔をしかめる実莉。寝起きで不機嫌そうな顔されるとより幼く見えて迫力が全くない。



「ほな風呂行こか」

「あと5分……」

「行かへんのやったらチューしたろ」

「やだってば、分かった」



掛け布団にくるまろうとしてたから唇を近づけると実莉はベッドを転がって逃げる。そのまま部屋を飛び出して浴室に向かった。
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