スカーレットの悪女
「今日はあ、大希さんから私に話があるって聞いてえ、張り切っちゃいました」



そうとは知らず勝手に盛り上がって自分の着ている服を披露する。


なんやその喋り方、語尾上がるの嫌いやねんむっかつく。いつも早口で怒涛の悪口ラッシュしか言わへんくせに。


あからさまなアピールに大希さんは露骨な愛想笑いでにこにこ笑って対応して、実莉はなにかしらリアクション取ると思ったけどじっと女の顔を観察しよった。


意外と冷静やな、なんやこいつって顔すると思ったけど。まあ、事前に大希さんから情報聞いてたんやろうな。



「あの、今日ってもしかして、結婚の……」

「そうそう、実莉との入籍の日取りが決まったから正式にお断りしよと思って」

「……は?」



話は本題に戻って、勘違い女にサプライズを敢行する大希さん。いとこは間抜けたツラで口を半開きにする。



「8月に籍入れるわ。結婚式の日程はまた後ほどお伝えするから」



よほど衝撃だったのか放心状態になっていい気味や。対照的に実莉は慌てたように目を見開いて大希さんの顔を二度見した。


あれ、大希さんなんで一番肝心なとこ伝えてへんねん。同意の上やないん?
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