スカーレットの悪女
このヒステリックな声はいとこやん。あいつまだ本家におるんかはよ帰れや。


声の行方を辿ると、畳の大部屋を挟んで向こうの廊下でヤツの姿が確認できた。


なんか怒ってるみたいやけど正面に誰かおるん?


換気のために襖が一部開けられとって、一歩部屋に踏み込むと実莉の姿も確認できた。


へえ、大希さんがそばにおらん状態で鉢合わせたか。


これは見ものやな。実莉はどう対処するんやろ。


背後の部下に動くなと命じ、俺はその場に踏みとどまって腕を組んだ。


こっちの廊下は昼間でも暗いから声掛けん限り気づかんやろうな。さて、どう出るんやろ。


いとこは自分より身長の低い実莉に上から圧力をかけるように早口で一方的にまくし立てとる。


何を言ってるか分からんかったけど、罵倒してることは伝わった。
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