スカーレットの悪女
「ほう、病み上がりでそこまでお見通しとは驚いた」

「何を聞きたいの?」

「あの女について調べた。あいつは壱華の顔に傷をつけろと命令されたそうだ」

「え?」



あの女って美花のことだよね。


調べてくれたんだ。まあ、獲物である壱華を奪われる要因を減らしたかっただけだろうけど。



「……誰に命令されたの?」

「“魔王”。お前ならこれで伝わるだろ」



志勇の口が動いて、確かに『魔王』と言葉を発した。


私は驚いて目を見開いた。


だってその人物は、こんな物語序盤で関わってくるはずではなかったから。
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