スカーレットの悪女
一見底抜け明るくてバカっぽいけど、地頭がいいからいざって時の判断が的確で頼りになる。


土壇場で慌てず冷静に対処できる度胸は大したもんやとそれは認めとった。


けどそれは実莉の裏の顔やなくて、どっちも本性。


探れど悪い面が見つからんどころかこの俺が絆されるとは。負けた、完敗や。



「あー、なるほどなぁ」

「何がなるほど?」

「虎が大事に守ってる子猫ちゃんと思ってましたけど、こりゃじゃじゃ馬ですわ」



知れば知るほど掴めん性格。そら大希さんも引くほどハマるわ。


こんなじゃじゃ馬見たことない、ほんまおもろい女やな。



「お似合いやな、あんたと大希さん」

「出た!京都流の皮肉」



素直に褒めたつもりやけど、実莉は不可解な顔をしてその後声を張った。


なに笑ってんねん、仮に皮肉だとして喜ぶなんておかしいやろ。



「皮肉やない、褒めてんねん。この俺が折れてやったんやから感謝しいや」



絶対認めんと思っとったけどここまで来たらこの不可思議な女と大希さんの行く末を見守らないかん。


笑いかけると、実莉は俺の言葉の意味もようわからんくせに満面の笑みを浮かべて俺に親指を立てた。
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