スカーレットの悪女
「んー、望月幹奈に双子の妹がおったの知っとる?」



固唾を飲んで見守るつもりだったけど、あっさり口火を切ったものだから驚いた。


壱華の母親である望月幹奈に双子の妹?


初耳なんだけど。そんなの原作にもなかった情報だ。



「幹奈って双子だったの?ってことは大希と壱華はいとこ同士!?」



知らなかった、大希と壱華はかなり近縁の親族だったのか。予想外の事実にたまげた私は声を張り上げた


なるほど、合点がいった。だから西雲の上層部は望月の血を濃く引く大希と壱華をくっつけようとしたのか。


ていうか、大希ってちゃんと望月の血を引いてるんじゃん。正当な後継者じゃん。


なんで大希のお父さんは、当時の望月の統帥とわざわざ養子縁組なんてしたんだろう。



「そう、その双子の妹、望月杏奈が俺の生みの親」

「望月アンナ……」



そして明かされた大希の母親の名前はアンナというらしい。


でも幹奈を呼ぶ時と違って、母親の名を口にする大希の声に嫌悪感がにじみ出ていた。



「双子やけど幹奈と違うてえらい気性の荒い人間でな?ああ、ちょうど雅のいとこみたいな感じ」



心の内にくすぶる厭悪は大希の表情を変え、笑っているのに険しい表情をしていた。


上手く笑えないほど、大希にとって母親とは憎しみの対象なのだ。
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