スカーレットの悪女
「ごめんまた横道に逸れたわ。せやから、俺は特に望月姉妹に翻弄された男って言われとるんよ」



過去を通じて、大希の並々ならぬ強さの再確認ができた。


何事にも前向きでくじけない男だとは思っていたけどそんな悲しい過去を乗り越えてきたなんて。


しんみりと大希の気持ちを思う反面、そこまで幹奈のことを愛していたのに、幹奈そっくりな壱華ではなく私を選んだのだろうと疑問が浮かんだ。



「にしても、幹奈に実子がおったなんて聞いてみんなびっくりしたわ。幹奈が亡くなった後子どももおったって話は聞いたけど、みんなてっきり相手の男の連れ子と思っとったんよ。それが西雲が壱華を必死こいて探さんかった要因やろな」

「大希って、幹奈のこと大好きだったのによく壱華じゃなくて私選んだね」



ちょうど幹奈の話題を出されたから訊いてみると、大希は歯を見せて笑った。



「確かに壱華は幹奈そっくりやけど、俺は結局おもろい女が好きやねん。実莉以上に退屈せん女なんて出会ったことないわ」



初恋は幹奈だったみたいだけど、タイプは関西の人間らしくおもしろい人がよかったらしい。


確かに、見た目とのギャップに置いて私の右に出るものはいないと自負している。


でも大希もひねくれてるから、ただおもしろい人じゃなくて“おもしろくて度胸と根性のある反抗的な女”が好きなんだと思う。


私がタイプだと断言したってことはそういうことだ。


あと、志勇と一緒でお利口な女はつまらないって感じるんでしょ?最初は圧力かけて試してくるけど、気を許したら気さくになる感じが志勇と似てるし。
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