スカーレットの悪女
顔を上げると大希は朗らかに笑っていた。



「何十年かかっても絶対一番になったるからな」



それから少しいたずらな笑みで宣言した。大希の中で、私との生活は数十年先まで想定されているらしい。



「異性部門では一番だけど」

「部門賞やない、総合優勝やないと意味ないねん」

「ふふ、なんそれ」



一応、異性の中では最優先な存在だけどそれではダメらしい。


真剣な顔で優先順位を総合優勝に例える大希がおかしくて笑った。



「ジジババになってもこうやってくだらない話しながら笑い合いたいわ」

「ジジイになっても一緒に居たいって思わせるくらい魅力的でいてよね」

「ええっ、俺がヨボヨボになっても一緒におってくれるん？献身的やなあ」

「ジジババになってもって、大希が言い出したんでしょ」



くだらない話も大希となら楽しくて、お互いが自然体でいられる。確かに私たちは相性のいいコンビなのかもしれない。


お互いにそれなりに苦労をしてきた身だ。


せめて今後の行方が安泰でありますようにと密かに願い、大希の手に自分の手を重ねた。
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