スカーレットの悪女
「わー、ええ音。そりゃぶたれますよ丞さん、はは」

「もう赤星ぃ〜!なんで謝らへんの思春期なん?」



雅の呆れたような乾いた笑い声が響き、大希は先生に叱られた男児の揚げ足を取る小学生みたいな態度を取る。


雅が私の行動に納得してるなんてよっぽどだ。


注目の的の丞さんは引っぱたかれた衝撃で顔が斜めに傾き、視線はそのまま斜め下に向けられている。


リアクションはまったくなかった。抵抗する気もないように見えた。


どう出るか見守っていると、不意に顔がこちらを向いた。



「……ありがとうございます」



そしていつも通りの無表情でなぜかお礼を述べた。


なんで叩かれてありがとうなの?


もしかして丞さんの新たな性癖を覚醒させちゃった!?



「やだ目覚めさせちゃった!?」

「思い切り引っぱたいてくれた方が罪悪感がありませんので」



オーバーリアクションでのけぞると丞さんは頭を下げる。


謝罪の意味が含まれてると感じた私はふざけるのをやめて一歩前に出た。
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