スカーレットの悪女
「まあ、今回は水に流しましょう。狙ってる限定コスメ買ってくれたらね」



覇王と側近たちの固い絆を知っているからこそ、今回は私が大人になるべきだ。


私らしく貢ぎ物で解決させる案を出すと、丞さんは顔を上げて笑った。朗らかな笑みだった。



「ふふ、したたかですね」

「あら大目に見た方ですけど?」



赦されたことを察した丞さんはすっかりいつも通りだ。


したたかですって?3人ともそんな私が好きなくせに。


とにかくこれで本当に一件落着だ。ほっと息をつくと、突然後ろからタックルされて抱き上げられた。



「うぅん可哀想に実莉ぃ!帰ったらまず手当しよな?あと俺のこと嫌いにならんで叩いてもええから!」



どうせ大希なことは分かってたけど、まだ私のご機嫌が気になるらしい。


そんなに私に嫌われたくないの?強引なくせに変な性格。試しにちょっといじわるしてみたくなった。


「叩かないけど、1週間えっち禁止ね」

「うぐぅ拷問……」



すると私の肩に顔を埋めて苦しそうにうめく大希。


どのみち周期的にそろそろ生理だ。被るからできないだけなんだけど、あえて言わないでおこう。


そんな大希を見て丞さんは「情けないですねえ」とぼやき、いつもの辛辣右腕節が炸裂していた。
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