スカーレットの悪女
そうして全て解決した後、私達は車に乗り込んで天音を去った。


8人乗りのバンの助手席には雅、後部座席に私と大希、そして丞さんは3列目に座っている配置だ。



「帰り病院寄ろうか?」

「大丈夫、それより口の中が血の味がして不快。何か飲んで誤魔化したい。スタバの新作フラッペとか」

「それただ飲みたいだけやん」



大希がいつまでも心配するから平気なことを示すためにふざけたことを言ってみる。


それを聞いた雅がツッコミを入れ、鼻でふんと笑われた。



「食べるの好きなんにつらいなあ。まあ、目立たんところやから良かったけど」

「ちょっと切れただけだからすぐ治るよ。ピチピチの10代だもん」

「空元気やめろや」



私の発言にひとつひとつ揚げ足を取る雅。


やけに話しかけてくるのは心配してるからだけど、ツッコミにいちいち反応するのはめんどくさいんだって。



「だってお腹すいてるの!」

「やっぱ大物やな実莉。精神面化け物やん」

「大物なのか化け物なのかどっちよ」

「どっちも」



声を張るとまた鼻で笑われた。


褒めてるのかけなしてるのか分からないような発言をするのは京都の男だから?


ところで空腹なのは事実だ。だって今日はおやつ食べてないし、今はもう18時だし。



口の中が切れて痛いけど食欲には勝てない。


今日の夜ご飯は何にしようかな。迷惑料として丞さんに奢ってもらってもいいな。
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