スカーレットの悪女
「フレンチですよね?なんとかなりそうです」

「さっすが丞さん仕事が早い!」



通話を終えた丞さんは、澄ました顔で予約をしたことを事後報告した。


私が手を叩いて喜ぶと、なぜか丞さんの口元がわずかに歪んで笑ったのが確認できた。


その視線は大希に向かっていた。



「2週間早めましたけどええですよね」

「えっ、待ってその店予約したん?ていうか今日?」

「電話したら空いてる言うたからちょうどいいなって」

「ブツがないやん無理」

「ありますよ私のカバンの中に」

「なんでお前が持ってん」

「頑張ってくださいね」



慌てて振り向いた大希との会話が全然読めない。


ブツって何?ヤクザが言うと拳銃とか危ない薬物のことかなとか考えちゃう。


とにかく丞さんの表情が妙に謎めいていて、何かを企んでいることは分かった。


今度は何を目論んでるの?あんなサプライズはもう懲り懲りなんだけど。


私に関係ないことだったら別にいいけどさ。
< 801 / 807 >

この作品をシェア

pagetop