スカーレットの悪女
実莉を車に乗せ、やって来たのはとあるフォトスタジオ。


けどただのスタジオやない。試着もできるウエディングフォトスタジオ。


こういうの好きそうやなと思って、式場の見学よりこっちを先にした。


実莉は店に入る前から察してわくわくしてたみたいやけど、店員から説明を受けた後、店内に並ぶウエディングドレスや色とりどりのドレスを眺めて分かりやすく目が輝かせた。



「いろんなドレス着るの夢だったの!ありがとう大希!」

「せやろ、実莉こういうの絶対好きやと思ったわ。どうぞ心ゆくまで試着してください」

「言ったね?本気で時間の限り着せ替えするからちゃんと見守っててね。すみませんこの赤いドレス試着お願いしまーす!」


やっぱノリええわ。そんでウエディングドレスより先にお色直し用のカラードレスから選ぶんかい。


「ウエディングドレスの試着はええの?」

「それは当日のサプライズにするつもり。雫佳さんと壱華の意見聞いて選ぶことにしたの」

「サプライズか、それもええなあ」



なるほどね、ウエディングドレスは当日まで俺に内緒なんや。

そんで結婚式への関心はあるんや。よかった、結婚に対する後ろめたさはないらしい。


「大希、いっぱい写真撮ってね」

「はいよ、任せとき」


実莉は俺にウインクをして、店員に笑顔でドレスの指定をして試着室に消えた。


なんやあの顔、反則やろあざとい。
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