スカーレットの悪女
「子どもっぽく見えるからなー」

「お願い、似合うと思うから1回着てみて」

「じゃあ大希が選んで?」



あんま気が進まんみたいやけど手を合わせて懇願したら実莉は蠱惑的な笑みを見せる。


さすが魔性の女、その豹変具合なんなんたまらんわ。


「分かった、待っとき」


腰を上げてドレス選びに専念することにした。


子どもっぽく見えるのが嫌ならどういうのがええんやろ。


とりあえず店員に声かけて店にあるドレスのカタログを見せてもらう。


青みがかったピンクだと大人っぽくなりますよ、なんて教えてもらったけど青みピンクてなんやねん。それラベンダーとちゃうの?


今度は俺が唸りながら選ぶ羽目になった。やっと結論を出したのはそれから5分後のこと。


サテン生地とレースが組み合わさった珍しいドレス。光沢がある感じが大人っぽくてええかな。


ウエストの切り替えからふわっと広がるお姫様みたいなドレス。けど甘ったるい感じはないから実莉も好きそう。


「ほら、よく似合う。花が咲いたみたいやん」


さっそく実莉に着てもらったら、さすが俺って褒め称えたいくらい似合ってた。


いやあ、悩んだ甲斐あったわ。満足して笑うと実莉はぎょっとした顔で目を丸くする。その後、なぜか顔を赤くした。
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