スカーレットの悪女
「雅さんただいま」
心の中でぶつくさ文句言いよったら実莉の声がした。振り返るときょとんとした緊張感のない呑気な顔した実莉が。
はあ、やーっと帰ってきたか遅いねん!
「なんで睨むの、なんかあった?」
「問題大アリ、とんでもない雷が落ちてんねん今ここに!」
「なにそれ、大希は?」
「向こうにおるけど今近づかん方がええよ」
大希さんが歩いていった行き先を指し示して、一応良心で忠告しといた。
いくら嫁でも、今の大希さんは実莉を攻撃する可能性がある。
「なんで?」
「機嫌が悪いねん、年に1回あるかないかってくらいに」
「ふーん」
あの状態の大希さんを見たことがない実莉は、案の定指さした方向に向かって歩き出した。
ああもう、どうなっても知らん。俺ちゃんと忠告したからな。
ほっとこうと思ったけど不安と好奇心が相まって実莉の後をついていくことにした。
「大希」
「……」
「ねえ、大希?」
大希さんは空いてる応接間におって、壁に向かって立っていた。
こっちからは背中しか見えんけど、怒りを深呼吸することで抑えようとしてるみたいやった。
当然実莉の呼びかけに反応はなし。けどいつもの調子で話しかけるもんやから大希さんは深くため息をついた。
心の中でぶつくさ文句言いよったら実莉の声がした。振り返るときょとんとした緊張感のない呑気な顔した実莉が。
はあ、やーっと帰ってきたか遅いねん!
「なんで睨むの、なんかあった?」
「問題大アリ、とんでもない雷が落ちてんねん今ここに!」
「なにそれ、大希は?」
「向こうにおるけど今近づかん方がええよ」
大希さんが歩いていった行き先を指し示して、一応良心で忠告しといた。
いくら嫁でも、今の大希さんは実莉を攻撃する可能性がある。
「なんで?」
「機嫌が悪いねん、年に1回あるかないかってくらいに」
「ふーん」
あの状態の大希さんを見たことがない実莉は、案の定指さした方向に向かって歩き出した。
ああもう、どうなっても知らん。俺ちゃんと忠告したからな。
ほっとこうと思ったけど不安と好奇心が相まって実莉の後をついていくことにした。
「大希」
「……」
「ねえ、大希?」
大希さんは空いてる応接間におって、壁に向かって立っていた。
こっちからは背中しか見えんけど、怒りを深呼吸することで抑えようとしてるみたいやった。
当然実莉の呼びかけに反応はなし。けどいつもの調子で話しかけるもんやから大希さんは深くため息をついた。