スカーレットの悪女
まあ確かに年齢的には思春期か。けどあまりにも達観し過ぎてたまに実年齢忘れるんよな。



「やっと本心語ってくれて嬉しい。心配せんでも俺は実莉のこと手放さんから大丈夫」



メンタル不調を認めた実莉。すると大希さんはそれはそれは嬉しそうに抱きしめ、なだめるように背中をさすった。



「俺は実莉のこと利用したいから結婚したんやなくて、好きやから結婚したんよ」

「それは、分かってる。言わなくても伝わってる」

「でも不安やったんやろ?嫁の不満は早いうちに解消しておかんと」



こういう時大希さんって包容力あるんよな。


おっと感心してる場合とちゃうわ。さすがに2人きりにさせてやるか。


丞さんも空気を呼んで部屋のドアの方へ足を向ける。


視線はスマホの画面に向けてさっき撮った大希さんの写真を眺め「いいネタ撮れたわ」とぼそっとつぶやいて部屋の外に出た。


若頭をネタ扱いってさすがやな。やっぱこの人たまに分からんわ。



「好きやで実莉。一生かけて実莉の一番になるべく全力で口説くからそこんとこよろしく」



丞さんの後頭部を眺めてると、聞いたことないような優しい声が聞こえた。


振り返ると実莉が真っ赤な顔で涙ぐんでた。


へえ、意外と大希さんの前では年相応な感じなん?


けど必死に大希さんに顔見られんように背けてるから見られたくはないらしい。


大希さんのお気に入りとしてのよしみや、しゃーなし俺だけの秘密にしといてやろ。


END
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